エンジョイ・アンド・グッジョ

エンジョイしたりグッジョだったものごとについて書くよ。

本の紹介:長いお別れ

ハロー。

このところ、花粉症、風邪、爪囲炎、腹痛などで若干の過ごしづらさを味わっています。そんな中で時間を見つけて読み進めていた本を読み終えたので、それをご紹介します。簡単な紹介になりますが、参考になれば嬉しいです。

 

私が今回読んだ本はレイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」原語では「THE LONG GOODBYE」という作品です。この本は多くの訳版が出ていて、出版社も多い。その中から、早川書房清水俊二氏の訳のものを読みました。

ジャンルは一言でいうと、ハードボイルド・探偵小説。中年の私立探偵フィリップ・マーロウがある時出会った男性テリー・レノックス。彼はある時、自分の妻の殺害容疑をかけられ逃走し、遺書を残して自殺してしまいます。マーロウはその事にやりきれなさを感じながら、再び日常に戻り、そして新たな依頼を受けることになります。その依頼を解決するために奔走するうちに、マーロウは、もう終わったと思っていた友人テリーが関わった事件に巻き込まれ、そして真相に近づいていくのです。

この小説の魅力は、なんといっても主人公フィリップ・マーロウとテリー・レノックスとの男の友情、当時のアメリカ社会を社会批評を交えながら的確に文字に表している点、そして、物語から漂う何とも言えないやりきれなさのような感覚でしょう。また、清水俊二氏の邦訳がチャンドラーのキザなようでキザでない、嫌味ったらしいようで嫌味ったらしくない、そんな文体を上手く私達に届けてくれます。

 

フィリップ・マーロウの登場する作品はこれ以外にも多くのものが出版されています。まだ私はこの一作しか読んでいませんが、このシリーズに大勢のファンがいる。一作を読んだだけでも、それは確かにそのとおりだ、と伝わってきた気がします。ファンといえば、特撮作品「仮面ライダーW」の登場人物「フィリップ」や「鳴海荘吉」の設定にも大きな影響を与えました。「仮面ライダーW」はハードボイルドならぬ、ハーフボイルドの主人公の探偵が戦いに身を投じる作品。面白い作品なので、合わせて見てみては如何でしょうか。マーロウの台詞の引用といえば、アニメ作品「コードギアス 反逆のルルーシュ」で主人公が、「仮面ライダーW」の劇場版作品でもとあるキャラクターが「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある人間だけだ」という台詞をそれぞれ引用していたりします。

 

如何でしたか?今回の紹介で、読んでみたいと思っていただければ幸いです。それでは今回の締めは、作中に登場した台詞で。

「さよならを言うのは、わずかの間死ぬことだ」